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2011年7月22日 (金)

株式70%超も、投信はわずか1.6%/ネット証券、4社連携で投信シェアは拡大するか

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 SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券のネット証券4社は、1%台と低迷する投資信託のシェアを拡大するため手を組んだ。「資産倍増プロジェクト」と銘打ち、4社が共同で販売する専用投信の販売や共同の販促イベントの開催などを手がけていく。

 プロジェクトの胆ともいうべき専用投信は、この7月に3本が運用を開始した。3本は「日本応援株ファンド(通称:スマイル・ジャパン)」「新興国中小型株ファンド」「新興市場日本株 レアル型」と日本株、海外株式をアクティブ運用するものだ(3つの投信の詳細は『日経マネー2011年9月号』(p92~95)を参照)。

 3つの投信は、国内外の運用会社38社から計71本の提案があったうちから選ばれたように、専用投信の販売はネット証券のみならず運用会社にとっても関心の高い取り組みとうかがえる。ただ、3つの投信の中身が明かされると、個人投資家などから「コストが割高」「日本株なのにわざわざブラジルレアルでヘッジするのは?」「運用(設定)期間が短いのでは」とさまざまな疑問の声も挙がっている。

 ネット証券側で今回の専用投信の選定に携わった植村佳延・SBI証券執行役員、臼田琢美・カブドットコム証券執行役、荒木利夫・カブドットコム証券営業推進室室長、佐藤澄子・楽天証券投信債券事業部長の4氏に、選定理由などについて聞いた。


(聞き手はファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川 美奈子)


 ―― 3つの専用投信の選定基準について教えてください。

 植村佳延・SBI証券執行役員 まずは長く愛され、ネットならではの特性を生かした低コストの商品であること。次に「資産倍増プロジェクト」と銘打っているだけに、高いリターンが取れること。最後に東日本大震災などの被災者や被災企業の応援につながること。

 最初の基準である長く愛されるためのカギは、やはりコストでしょう。今回はアクティブ型のファンドですがノーロード、購入時の手数料をいただきません。さらにコツコツと積み立てしやすくするために、1000円から積み立てをできるようにしています。

 過去の経緯をみても、砂時計のように残高が積み上がっていく投信が人気化しています。現在、投信の販売の主流である店舗での対面販売では、募集期間中に営業マンがともかくお金をかき集めますが、いざ運用を開始すると募集に力が入らなくなる傾向が見られます。

 こうしたパターンに陥らないように、我々のプロジェクトではしたい。すでにネットで投信を投資している方にも、これから新しく投資する方にも「長く愛される」商品を提供したい。

 2つ目の高いリターンを上げるために、提案してきた投信が超過リターンや絶対リターンを取れるかどうかを厳しくみました。運用チームが過去にきちんとした運用成績をあげているか、専門用語でいうとトラックレコードがあるか、ベンチマークに勝っているのかをみています。トラックレコードがない投信の場合には投資決定プロセスやファンドマネジャーを取り巻く会社のサポート体制、調査体制について精査しました。

 3点目は義援金をつけられるかどうかです。震災で苦労している方、立ち上がろうという方を少しでも支援したいというのもあり、日本株投信は外せなかったです。このファクターは、じつは当初考えていなかったのですが、皆さんも期待していたし、我々も日本人だからやらないといかんということを考えました。

 ―― 個人投資家から保有コストが高いのではという声もありますが・・・。

 植村 じつは今回はコストで徹底的に安いといえるかどうかはこちらとしても疑問な部分はあるのは確かです。そうはいっても高い投信は作ってないと思います。

 信託報酬でいえば、特定の新興国の中小型株に投資する投信と同程度です。しかも、対面なら3%程度かかる購入時手数料をゼロにしています。流動性の問題もあるし、新興国の中小型でインデックスつくっても、それほど低コストなものはできないでしょう。

 今回は低コストの投信が1つもないと言われるかもしれませんが、我々から見ればかなり低コストにしている投信もある。あれ以上低コストのものを設定しても、運用会社も販売会社も悲鳴をあげてしまいます。

 我々もビジネスですから、収益を度外視したビジネスをやっても長続きしません。慈善事業をやっているわけではないので、そこは努力に見合った収益をいただかないと長続きしないのです。その狭間のなかで、どうやって投資家本位の投信を組成していくかということを考えています。

 臼田琢美・カブドットコム証券執行役 インデックス投信で見ると、ネット証券で取り扱うインデックス投信のコストは結構安くなっていきています。逆に、アクティブ型投信はまだ高い状況です。今回選んだ3つの投信はアクティブ型ですが、アクティブ型の中ではコストをまあまあとはいえ安く抑えられていると思います。

 専用投信の中に極端にコストを下げたインデックス投信を選ぶ、というやり方もあったでしょう。ですがまずはインデックス以外の投信である程度安くしていく、という流れを作る方を選びました。まあ、商売ですので、あまり安くしすぎると「どこで儲ければいいの?」という話になり、誰にとってもハッピーでなくなってはどうしようもありません。

 植村 個人的には、よほど優秀な投信でない限り、インデックス投信で十分だとは思っています。その前提に立っていても、今回選んだ商品はかなり優秀なものを選んだと感じています。

 ―― 4本目以降の専用投信には、インデックス投信を採用する可能性もあるわけですか?

 植村 新しいインデック投信の提案があれば、ぜひ検討したいです。今回は募集から応募まで2週間という時間的な制約もあって、そういう提案はありませんでした。スケジュールが厳しかった点は反省しています。2回目の選定ではもう少しゆったりしたスケジュールを考えています。

 ―― 当初は1本の予定でしたが、最終的に3本になった理由は?

 植村 最初に上げた3つの選定基準を1本ですべて満たす投信が残念ながらありませんでした。

 「新興国中小型株ファンド」と「新興市場日本株レアル型」は、最初の基準である長く愛されて、しかも2つ目の運用成績を重視した面が大きいです。そして、この2本は今までにない投信です。

 「日本応援株ファンド」は3つ目の被災者や被災企業の応援という面を満たしています。信託報酬の一部を義援金に回します。もちろん「日本応援株ファンド」についても運用成績もみましたし、投資決定プロセスも確認しました。

 今回、日本株ファンドの提案は7本ありましたが、全部精査して1つ目と2つ目の基準を考慮し、7本の中ではいちばん優秀だと思った商品を選びました。

 ―― 「日本応援株ファンド」については、同じマザーファンドに投資するベビーファンドが楽天証券とSBI証券で 購入できます。なぜあえて同じマザーファンドの商品を専用投信の1本として設定したのでしょうか。

 佐藤澄子・楽天証券投信債券事業部長 「優良日本株ファンド(ちから株)」のことですよね。その商品は当社とSBI証券さん以外に、対面の金融機関でも販売しています。今回のプロジェクトはネット証券専用という冠をつけてやっていきたいという思惑があり、そういうことは全然考えていませんでした。

 植村 既存の投信を使うと義援金をつけられません。また、(今回のファンドということではないが)、例えば、ネット証券専用投信で残高が増えたら、信託報酬を下げてほしいという要求も将来はしたいと考えています。そういう時に対面証券が入っていると、そういうことはできません。

 ―― 3本とも信託期間が無期限ではありません。選考基準で長く愛され、積み立てできるものを挙げていますが、それと矛盾しませんか?

 植村 償還期限とされている5年、もしくは10年先のことはわかりませんが、投資家に受け入れられて存在価値があったら、恐らく運用会社は償還延長してくれます。これは間違いない。

 ただ、やってみたけれど、当初思った通りにいかなかったという投信も、なかにはあるのではないですか。そういうものを無期限にするのもまた不見識でしょう。投資家に受け入れられれば、(運用会社は)償還延長をやってくれると思います。

 荒木利夫・カブドットコム証券営業推進室室長 無期限とうたっていて、2年で繰上償還した投信もありますからね。

 ―― それぞれの投信をどういう層に買ってほしいと思っていますか?

 臼田 目先は今のお客さんですが、ゆくゆくは対面の人にも買ってもらえるようなものにしたいです。そういう意味では、新興国中小型株ファンドや新興市場日本株レアル型の2本は対面では売っていない商品だから魅力があると思います。

 植村 こちらがターゲットだろうと思って売った結果が、「違っちゃった」ということは過去に何本もあります(笑)。長く愛されるという基準についてはターゲットを考えましたが、「積み立て=若い人」ばかりかといえば、そんなこともないですからね。

 佐藤 4社それぞれ顧客層・バックグラウンドが違うので、そういう意味では、4社それぞれにバリエーションがあり、プロファイルもおのずと違ってくると思います。

 ―― 今回の商品開発では、運用会社に商品開発のイニシアティブを委ねた印象がありますが、ネット証券4社が顧客のニーズを汲み取ったうえで、運用 会社に開発を委託するような仕組みでは今後考えていますか。

 植村 その点は我々も意識していて、投資家の意見を反映した商品にもトライしたいと思っています。ただ、上がる時は上がって、(相場が)下がるときには下がらない投信作れと言われてもできないですが…(苦笑)。

 今回のプロジェクトで思い浮かべるのは、1980年代にプライベートブランド(PB)を巡り、総合スーパーとメーカーが争ったことです。当時ダイエーの中内功さんが、消費者の利益のためにとPB商品を作るために、松下電器産業(現パナソニック)と喧嘩をしました。

 我々のプロジェクトも、PBの投信を作るようなものです。ただ現在のネット証券のシェアでは、個々の会社が「投資家ニーズに合った商品を作ってほしい」と運用会社に言っても最低運用金額などの問題もあって実現は難しい。

 けれど、4社で組むことで、投資家の要望を運用会社にきちっと反映した投信をつくれる道ができたとは言いませんが、できる可能性ができたとはいえるのではないでしょうか。

 ―― 専用投信の第2弾の予定は?

 植村 11月6日に大阪でイベントをやろうと思っていて、その時に投資家の皆さんに
お知らせしたいという方向で検討しています。

7月 22, 2011 最新ニュース |

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