メンタルトレーニングを積めば個人投資家も勝てる!
「どうも投資がうまくいかない」、「投資しても損をしてばかりしている」とお嘆きの方、多いかもしれません。日経マネーを読んで銘柄の研究もしているし、チャートをよくみてタイミングの分析も欠かさない。でも勝てないのはなぜ?
それは情報不足でも研究不足でもなく、別の理由かもしれません。意外と心理的な要因、「どうせ相場は良くならない」、「どうせ儲かりっこない」という発想が心のどこかにあると、うまくいくはずのものも、うまくいきません。これを解決する有効な手段として、メンタルトレーニングはいかがでしょう。お勧めの1冊がこれ、メンタルトレーナー、久瑠あさ美さんの「一流の勝負力」(宝島社、1143円)です。
久瑠さんは、ソフトバンクホークスの川崎宗則選手など著名なスポーツ選手のメンタルトレーナーとしてご活躍中です。本書では、一流のアスリートたちが、なぜ勝てるのか、メンタル面から分析しています。例えば、先のサッカーワールドカップで、日本代表の駒野選手はなぜPKを外したのか? バンクーバー五輪でキム・ヨナと浅田真央ちゃんのメダルの色を分けた最大の理由は? ゴルフの石川遼君は、なぜあの若さで活躍できるのか? などなど、一流選手の活躍を、メンタルトレーニングの重要性に基づいて検証しています。実に面白いです。
久瑠さんは「勝つためには内的動機、Wantが必要」と説きます。例えば「定年までに1億円貯めたい」と考える個人投資家がいたとします。これが単なる目標のままでは、実現の道は遠い。しかし意識を変えて、これをWant、内的動機の領域まで高めれば、違ってくるそうです。詳細はぜひ本書をお読みください。私はけっこう目からうろこが落ちました。
川崎選手は今や球界を代表するスーパースターですが、2005年ごろまでは、さほど目立つ選手ではありませんでした。2006年ごろから打撃は常に3割を超えるようになり、守備でもリーグナンバーワンの遊撃手になりました。その影に久瑠さんのメンタルトレーニングがあったことを、本書の中で川崎選手が明らかにしています。クライマックス・シリーズでは活躍できなかった川崎選手、今ごろ久瑠さんに、短期決戦におけるメンタルトレーニングについて、アドバイスを求めているかもしれませんね。